とれまがファイナンス - 来週の相場見通し/持ち合い解消売りを避け、物色は位材料株が中心 - カブ知恵速報

唐突とも思える米国の公定歩合引き上げですが、ＦＦ金利の引き上げではないので、19日の日本株の下落はやや過剰反応とみています。日経平均は16日から３日続伸したこともあり、その反動も出たのでしょう。公定歩合引き上げは、金融機関の資金繰り支援の必要性の低下であり、米金融市場が正常化していることへの証と、早晩市場は前向きに捉えると考えています。

もともと、ＦＦ金利と公定歩合との格差は１％でした。これが金融危機で、ＦＲＢは資金繰り支援の観点から0.25％まで圧縮してきたのです。今回の引き上げで、この格差は0.5％に拡大しました。そうこう考えると、政策金利であるＦＦ金利の引き上げは、ＦＦ金利と公定歩合の格差を１％に戻してから、行われることになると考えます。それまでに、ＦＲＢは２回に分けて公定歩合だけを引き上げていくとみています。

なお、来週25日にバーナンキＦＲＢ議長が、下院金融委員会の公聴会で金融政策報告の証言を行う予定です。この議会証言で市場に安心感が広がるかに注目しています。仮に、米株式市場が動揺したとしても、この議会証言前後には落ち着きを取り戻す公算が大きいとみています。

一方、米国の金融政策の正常化回帰は、日米金利差の拡大につながるため、為替市場ではドル高基調が強まるとみています。これはわが国輸出企業にポジティブに作用するでしょう。よって、電機・ハイテク株指数の日経平均は下がり難い状況になるとみています。

ただし、今週、上値では、地銀を中心にした国内金融法人からの持ち合い解消売りや、年度末を意識した益出しの売りが根強く観測されていました。この売りが止まらない限り、日経平均などの株価指数の上値は抑制されると考えます。以上のことから、来週の日経平均の想定レンジは9800円～10400円程度です。

物色面に関しては、持ち合い解消売りが出難い、金融機関があまり保有していない低位材料株が中心になるとみています。東証一部上場の貸借銘柄の中で、株価が比較的低位で、売り残が積み上がり、踏み上げが期待できる売り長銘柄への資金流入が継続するでしょう。物色されるであろう銘柄は、足元業績は好調でしょうが、ＥＰＳの絶対値は低く、物色の質自体は、相対的に悪化していく可能性が高そうです。

（株式会社カブ知恵　代表取締役　藤井英敏）