とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/レンジは1ドル＝90.00－92.60円を想定 - カブ知恵速報

今週の円相場は大幅安。米住宅指標やフィラデルフィア連銀製造業景気指数が強い内容だったことを受けてドルが買われた。プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁がこれまで米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が購入してきたＭＢＳ債の早期売却を示唆したことや、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）議事要旨で「資産売却を近い将来の再開することを支持するメンバーがいた」と明らかになったことなどを受けて、ＦＲＢが金融引き締めに近づきつつあるとの見方が広がり、米金利が上昇したこともドル買いを誘った。

ＦＲＢが18日に公定歩合を引き上げると早期の利上げの憶測が高まって円売り・ドル買いが加速し、19日には一時92.10円と1月12日以来の安値まで下げた。

　来週、米国では23日に12月ケース・シラー米住宅価格指数、2月米消費者信頼感指数、24日に、ＭＢＡ住宅ローン申請指数、1月米新築住宅販売件数、25日に1月米耐久材受注、新規失業保険申請件数、12月米住宅価格指数、26日に10-12月期米実質国内総生産(ＧＤＰ)改定値、2月シカゴ購買部協会景気指数(ＰＭＩ)、2月ミシガン大消費者態度指数、1月米中古住宅販売件数などが発表される。

また、イエレン米サンフランシスコ連銀総裁やブラード米セントルイス連銀総裁、ダドリー米ニューヨーク連銀総裁、コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁、エバンス米シカゴ連銀総裁、タルーロＦＲＢ理事が講演を行う。その他、25日にバーナンキＦＲＢ議長が下院金融委員会の公聴会で金融政策報告の証言を行うほか、ガイトナー米財務長官が下院金融委員会で2011年度予算案について証言を行う予定となっている。

　一方、日本では23日に日銀・金融政策決定会合議事要旨、24日に1月企業向けサービス価格指数、26日に2月東京都区部消費者物価指数(ＣＰＩ)、1月全国ＣＰＩ、1月商業販売統計、1月新設住宅価格指数などが公表される。

　今週のＦＯＭＣ議事要旨やＦＲＢの公定歩合の引き上げを受けて、マーケットの米金利に対する感応度が高まっているため、来週は米経済指標を受けた米金利の動向に最大の注目が集まる。

ただ、ＦＲＢは公定歩合の引き上げに関して、金融政策や景気の見通しを示している訳ではないとしている。この見方が徐々にマーケットに浸透してくれば、金利面でのドル買いの勢いは徐々に薄れてくることが考えられる。

各連銀総裁の講演やバーナンキＦＲＢ議長の証言でも、公定歩合引き上げと、金融引き締めが別物であることが示される可能性が高い。

来週の円相場は買い戻される展開となりそうだ。米早期利上げの憶測が徐々に後退するにつれて、金利面のドル買いがはく落し、円が買い戻されるだろう。

3月の決算期末に近づきつつあり、円の下値では国内輸出企業からの買いが入りやすい。また、ユーロに対して「国内輸出企業の円の手当てが遅れている」との指摘があるように、対ユーロでの円買い意欲が強いため、円・ドル相場をサポートするだろう。

テクニカル面でも、生保などの機関投資家が意識する200日移動平均線が下値を支えそうだ。レンジは1ドル＝90.00－92.60円を想定している。

（グローバルインフォ株式会社）