とれまがファイナンス - 来週の相場見通し/「内憂外患」で調整相場、材料株の急落を警戒 - カブ知恵速報

来週の日経平均は、軟調な展開を想定する。想定を超える外部環境の改善（米株高や円安）がない限り、調整色の強い相場になりそう。５月のＳＱは9758.38円だったが、これを下回って推移する限り、需給悪が続く見通しだ。日経平均の想定レンジは9300円～9900円程度。

福島第１原発１号機で、「メルトダウン（炉心溶融）」が発生したことが確認され発表された。１号機の作業は最も順調とみられていただけに、１号機がこの有様では、10月ごろまでに冷温停止を目指すとしていた「工程表」の見直しは必至だ。これは当面の日本株の上値抑制要因として機能することだろう。

また、本日13日に３月期企業の決算発表がピークアウトした。このため、来週以降は手掛かり材料が減少すると同時に、当面の材料出尽くしとなる可能性が高まった。そして、ここ最近、原油、金、銀などの国際商品市場が乱高下している。６月末のＱＥ２終了や、ギリシャなど欧州財務懸念の強まりを背景に、投機資金がリスク資産から流出傾向を強め、投資家がリスク回避志向を強めつつある。これらが、来週の東京株式市場調整の主たる背景だ。

さらに、枝野官房長官が13日午前の記者会見で、震災前の東電（9501）の借入金など金融機関が債権放棄など負担を負わない限り「国民の理解を得られることは到底ないだろう」との認識を示したと伝わった。仮に、債権放棄や金利負担の減免など実施されるならば、メガバンクは、東電向け貸付金に引当金の計上を迫られ、業績が大きく圧迫されることになる。同時に、メガバンクの株価に対してはそれなりのネガティブなインパクトが予想される。また、今後、電気料金引き上げ等の国民負担回避のために、政府から経済合理性を無視する形で、メガバンクに対する協力を求められるリスクも市場は織り込む公算が大きい。

まさに、来週の株式市場を取り巻く環境は、「内憂外患」だ。なお、今週半ば以降、東日本大震災や福島原発事故以降、信用個人中心の短期資金中心に復興関連や代替エネルギー関連、節電・省エネ等のテーマ性で急騰した材料株群の急落が散見された。時価総額低位銘柄が多く、相場全体に対するインパクトは軽微だろう。しかし、この流れが続くようだと、信用個人中心に、短期売買を好むトレーダーの動きが来週は一段と鈍る可能性が高いとみておく必要がある。仮にそうなった場合、日経平均が膠着していたとしても、相場の体感温度は相当低下する見通しだ。

（株式会社カブ知恵　代表取締役　藤井英敏）