とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/レンジは１ドル＝78.00－82.00円を想定 - カブ知恵速報

今週の円相場は堅調だった。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が死亡したとの報道で、対米テロリスクが低下するとの期待からドル買いが先行したものの、反応は一時的。株価の上昇を背景に投資家がリスクを取りやすくなるとして、対欧州・オセアニア通貨などでドル売りが出た流れに沿って円高・ドル安が進んだ。

主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時72.696と2008年７月29日以来の水準まで低下した。週後半は円高の様相が濃くなった。米雇用指標や景況感を示す指標が悪化したことを受け米国株価が下落し、投資家がリスク回避姿勢を強めるとの思惑から全般に円買いが進んだ。一時79.57円と主要７カ国（Ｇ７）が協調介入を実施した３月18日以来の高値を付けた。

来週、米国では10日に４月輸出入物価指数、３月卸売在庫、11日に３月貿易収支、４月月次財政収支、12日に４月卸売物価指数（ＰＰＩ）、４月小売売上高、３月企業在庫、13日に４月消費者物価指数（ＣＰＩ）、５月ミシガン大学消費者態度指数速報値などが発表される。

また、デューク米連邦準備理事会（ＦＲＢ）理事やコチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁などの講演が予定されている。

一方、日本では９日に４月６－７日分の日銀金融政策決定会合議事要旨、11日に４月外貨準備高、３月景気動向指数速報値、12日に４月マネーストックＭ２、３月国際収支、４月景気ウオッチャー調査などが公表される。

来週は米国のインフレ指標や小売統計の結果を確認しつつ、米国株の動向に注目したい。ここのところ、米国の経済指標は予想より弱い内容となることが多く、米景気の回復ペースが鈍化しているとの見方が広がっている。足もとで上昇してきた米国株が調整すれば、株価下落に伴うリスク回避のマネーが円に流れやすいだろう。

このほか、米財務省は10日に３年債320億ドル、11日に10年債240億ドル、12日に30年債160億ドル規模の入札を実施する。円相場は米金利と相関性が高いため、入札結果も注視したい。また、９－10日には米中戦略・経済対話がワシントンで開催される。米政府が再び中国の人民元改革を提起する見通しとなっただけに注意が必要だ。

来週の円相場は荒い値動きとなりそうだ。レンジは１ドル＝78.00－82.00円を想定している。市場では相次ぐ弱い米経済指標を受けて、米経済の先行き懸念が再燃している。米国の金融緩和政策が続くとの見方から「円高・ドル安の流れは当面変わらない」と指摘する参加者は多い。別の市場関係者からは「史上最高値の76.25円を試す可能性もある」との声が聞かれた。

ただ、79円台では政府・日銀による円売り介入への警戒感が強い。くわえて、トリシェ欧州中央銀行（ＥＣＢ）総裁が５日の理事会後の記者会見で６月の会合での利上げを示唆しなかったため、ユーロ・ドルが大幅に下落。原油相場が軟調に推移し、対資源国通貨でもドル買い戻しが進んでいることあって、円に対してもドル買いが入りやすくなった。一方的な円高・ドル安は見込みづらい。

とはいえ、今後の動きは今晩の４月米雇用統計の結果次第だろう。失業率が8.8％、非農業部門雇用者数変化が前月比18.5万人増となっており、予想からどの程度ぶれるかが焦点だ。

（グローバルインフォ株式会社）