とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/１ドル＝88.50－91.00円での方向感に乏しい展開を想定 - カブ知恵速報

今週の円相場は小動き。欧州の財政懸念と欧景気の先行き不透明感などを背景に、投資家のリスク志向が低下するとの見方から円買いが入る場面があったが、同時にドルも対ユーロなどで買われたため、円・ドル相場は狭いレンジでの方向感に乏しい展開となった。

市場関係者からは「今週権利行使期限を迎えるオプションが90.00円に設定されていることも意識された」との声が聞かれた。今週の高値は89.15円、安値は90.15円で値幅は1円程度だった。

　来週、米国では16日に2月ニューヨーク連銀製造業景気指数、12月対米証券投資、2月ＮＡＨＢ住宅市場指数、17日に1月輸出入物価指数、1月住宅着工／許可件数、1月鉱工業生産、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）議事要旨、18日に1月卸売物価指数（ＰＰＩ）、2月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、1月景気先行指標総合指数、19日に消費者物価指数（ＣＰＩ）などが発表される。

また、ホーニッグ米カンザスシティー連銀総裁やロックハート米アトランタ連銀総裁、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁、ダドリー米ニューヨーク連銀総裁などの講演が予定されている。

　一方、日本では15日に10－12月期実質国内総生産（ＧＤＰ）速報値、12月鉱工業生産確報値、17日に12月第三次産業活動指数、19日に12月全産業活動指数、金融経済月報などが公表されるほか、日銀が17－18日に金融政策決定会合を開く。

　来週の経済指標では、１月住宅着工／許可件数や２月フィリー指数が相場への影響度が高いだろう。また、バーナンキＦＲＢ議長は10日、下院金融委員会での証言原稿で、危機対応の金融政策を通常の政策に戻す「出口戦略」の今後の方向性を明らかにした。

市場関係者からは「詳細は示されなかったが、投資家に潜在的な金利上昇をほうふつとさせるものだった」との指摘があるだけに、要人発言などにも注目したい。

来週の円相場は１ドル＝88.50－91.00円での方向感に乏しい展開を想定している。欧州連合（ＥＵ）がギリシャへの財政再建支援で合意したことで「南欧への財政懸念はひとまず和らいだ」との指摘がある半面、ギリシャ救済については具体策が示されておらず、不透明感は残る。

「経済規模の大きいスペインを巡る懸念もある」との声も聞かれた。低金利のドルと円は投資への調達通貨としての位置付けが同じため連動性が高い上、円・ドル相場は一目均衡表の雲の中にしっかり入り込んでおり、テクニカル的にも動きづらいだろう。

（グローバルインフォ株式会社）