とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/１ドル＝87－91円での底堅い展開を想定 - カブ知恵速報

今週の円相場は底堅い展開となった。対欧州・オセアニア通貨でのドル買いにつれた円売り・ドル買いが広がったことや、１月ＡＤＰ全米雇用リポートが予想より強い内容となったことを手掛かりに一時91.28円まで下げたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。

ギリシャに加え、ポルトガルやスペインの財政悪化懸念が高まったことをきっかけに、円・ユーロ相場が急伸。これにつれる格好で円・ドルも値を上げた。株価や商品相場の下落を背景に、投資家のリスク志向が後退したことも円の支援材料となり、一時昨年12月14日以来の高値となる88.55円まで買われた。

　来週、米国では9日に12月卸売在庫、10日に12月貿易収支、１月月次財政収支、11日に１月小売売上高、12月企業在庫、12日に２月ミシガン大学消費者態度指数（速報値）などが発表されるほか、プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されている。また、米財務省は810億ドル規模の国債入札を行う。

　一方、日本では、8日に12月国際収支、1月マネーストックＭ２、1月景気ウオッチャー調査、10日に12月機械受注、１月国内企業物価指数、12日に１月消費動向調査などが公表される。

来週の円相場は１ドル＝87－91円での底堅い展開を想定している。

企業や政府の信用リスクが取引対象となるクレジット・デフォルト・スワップ（ＣＤＳ）市場では、ポルトガルやスペインに対する保証コストが急上昇しており、市場では「財政懸念国の具体的な改善策が示されなければ、投資家のリスク回避姿勢は当分続くだろう」との見方が出ている。

半面、円の買い材料は出尽くした感があり、一方的に円高が進むとは考えにくい。

市場関係者からは「米金融規制案については、最も厳しいシナリオをマーケットは既に織り込んだ公算が大きい。公表時よりは緩い規制内容になるとの見方が広がれば、徐々にドル高基調が強まるのでは」との声が聞かれた。

もっとも、今晩発表される１月米雇用統計の結果次第では市場の雰囲気が大きく変わる可能性があるため、カナダのイカルイトで開催される７カ国財務相・中央銀行総裁会議（Ｇ７）と併せて、注意する必要があるだろう。

（グローバルインフォ株式会社）