とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/レンジは1ドル＝87.50－90.80円で想定 - カブ知恵速報

今週の円相場は90.00円を挟んで一進一退の展開となった。三井住友フィナンシャルグループの公募増資に絡んで海外勢から円買いが散見された。また、中国の金融引き締めへの警戒感からリスク回避目的で欧州・オセアニア通貨に対して円が買われたことも円買い・ドル売りを誘い、27日に89.14円と昨年12月18日以来の高値まで上げた。

ただ、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で、ホーニッグ・米カンザスシティ連銀総裁が、反対票を投じたことが明らかになると、米国の引き締め時期が前倒しされるとの見方が広がって売りに押し戻された。外貨建て投資信託の新規設定に伴う円売りも出て28日には90.56円まで下げた。

　来週、米国では1日に12月個人所得、12月個人消費支出(ＰＣＥ)、1月ＩＳＭ製造業景況指数、12月建設支出、2日に12月住宅販売保留指数、3日にＭＢＡ住宅ローン申請指数、1月チャレンジャー人員削減数、1月ＩＳＭ非製造業景況指数、4日に10-12月期非農業部門労働生産性・速報値、新規失業保険申請件数、12月製造業新規受注、5日に1月米雇用統計、12月消費者信用残高などが発表される。

また、ガイトナー米財務長官が1日に上院財政委員会で2011年度の予算案に関し証言するほか、ウォーシュ米連邦準備理事会（ＦＲＢ）理事は3日にニューヨークで講演を行う。

　一方、日本では2日に1月マネタリーベース、12月毎月勤労統計の発表が予定されている。

来週の経済指標では、米雇用統計が最大の注目だ。予想では失業率は前月と同じ10.0％だが、非農業部門雇用者数変化は前回の前月比8万2000人減少から2万7000人の増加へ改善する見込み。もっとも、3日水曜日に発表されるＡＤＰ雇用統計や4日木曜日発表の新規失業保険申請件数の結果次第で予想は発表日に向けて大きく変化するため注意したい。

来週の円相場はじり高の展開となりそうだ。レンジは1ドル＝87.50－90.80円で想定している。

米国や中国の株式相場が調整色を強めている上、日本株も決算発表が本格化する影響で重くなりやすい。リスク志向が高まらないため円は買われやすそうだ。

米雇用統計に関しても、ＦＲＢは今週のＦＯＭＣで改めて長期にわたる異例の低金利を維持するスタンスを示しており、強い結果となっても円が売られたとしても一時的なものにとどまる公算が高い。

注意するとすれば、5、6日にカナダのイカルウィットで開催される7カ国(Ｇ7)財務相・中央銀行総裁会議に向けて、各国要人から伝わる発言だろう。人民元の切り上げに関する発言によっては円が買われる可能性があるため注意を払いたい。

（グローバルインフォ株式会社）