07月31日 14時21分
次回の約束を二週間後に取り、少年と母親が帰った後、藤田先生が面接室に駆け足で戻ってきた。
「びっくりしました。あの子がきちんと相手の目を見て話したり、よく笑ったり……。なんだか期待がもてそうです」
藤田先生は興奮していた。しかし、一転、顔を曇らせる……。
「しかし……、先生にお聞きするのもなんですが、今日私は学校に帰ってから、校長に治療の内容をどのように報告したらいいのかわからなくて……。いいえ、私は同じ空気を吸っていましたから、とてもよいことが起きているのがわかったのですが……」
たしかに、この日のことを正確に伝えることはさぞ難しかろう(ましてや教育の現場へは)。
「適当に伝えてください」セラピストは藤田先生を信頼するしかなかったのである。
「それと、父親は治療によばなくてもよいのでしょうか?」これについては、藤田先生は明らかに不満そうである。
「いや、いいです。きっと、一緒に来れないくらいに辛いのですよ。」
「……」しばらく考え、藤田先生はコックリうなずいてくれた。
この辺の察しの良さが、セラピストにはとてもありがたかった。