とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/1ドル＝87－92円で底堅い展開 - カブ知恵速報

今週の円相場は下値が堅かった。ギリシャのソブリンＣＤＳのプレミアムが過去最高値まで上昇するなどギリシャの財政懸念が高まる中、対ユーロでドル買いが強まると円に対してもドル高が進んだ。

円は一時91.88円まで値を下げた。ただ、売り一巡後は値を戻す展開に。オバマ米大統領が21日、金融機関の規模とリスクの高い取引を制限する金融規制案を発表したことをきっかけに、米国株が急落。投資家のリスク志向が低下するとの見方から、一転円買いが強まる展開となった。一時89.78円と昨年12月18日以来の高値を付けた。

　来週、米国では25日に12月中古住宅販売件数、26日に11月ケース・シラー米住宅価格指数、11月住宅価格指数、1月リッチモンド連銀製造業指数、27日に12月新築住宅販売件数、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）、28日に12月耐久財受注、29日に10－12月期実質国内総生産（ＧＤＰ）速報値、1月ミシガン大学消費者態度指数確報値などが発表される。また、米財務省は1180億ドル規模の国債入札を行う。

　一方、日本では26日に12月企業向けサービス価格指数、日銀金融政策決定会合、27日に12月貿易統計、金融経済月報、28日に12月商業販売統計速報、29日に12月失業率、12月全国消費者物価指数（ＣＰＩ）、12月鉱工業生産速報値などが公表される。

来週の経済指標では、日米金融イベントに注目が集まる。日銀が開く金融政策決定会合では、現状が維持されるとの見方が大勢を占めるものの、円高の再燃で景気の腰折れリスクが高まれば、新型オペの拡大や長期国債の買い入れ増額など一段の金融緩和策が導入されるとの見方がある。

一方、27日のＦＯＭＣでは、政策金利であるフェデラルファンド（ＦＦ）金利の誘導目標を0.0％から0.25％の範囲に据え置くと予想されているが、同時に発表される声明で米連邦準備理事会（ＦＲＢ）がどのような景気認識や政策の運営方針が示すかがポイントとなる。

来週の円相場は1ドル＝87－92円で底堅い展開となりそうだ。オバマ米大統領が提案した金融規制案の実現に向けた作業は難航が予想されるが、市場では「かなりのサプライズ。法案の詳細が明らかになっていないだけに、どの程度の影響が出るのか想定出来ないが、リスクを回避しようとする資金が円に向かう可能性は高い」との声が聞かれた。

中国の金融引き締め観測が強まっていることも円の支援材料となりそうだ。半面、円の上値の重さを指摘する声もある。ユーロ圏加盟国の一部の財政懸念が高まっていることを背景に、対ユーロでドル買いが進めば円・ドルの重しになるほか、「中国株は金融引き締め観測を背景に上値こそ重くなったものの、総じて下値は限定的。市場参加者のリスク選好は思いのほか根強い」との指摘があった。急激に円高が進めば、日本政府の為替介入への警戒感を高めることにもなるだろう。

（グローバルインフォ株式会社）