07月29日 15時41分
初回面接 パート1
少年の通う中学校の養護教論・藤田先生に程され、母親と少年はおどおどしたようすで面接室に現れた。
少年はドアの一番近くに半身で座り、誰の視線も拒否していた。
セラピストは藤田先生と母親に続けて、少年にも普通のあいさつでコンタクトを試みたが、その反応は実に頼りないものに感じられた。
いかにも関係をつくるのが難しそうである。
(ま、いいか。とりあえず一度だけ会ってみましょうということだったもんな……。)
セラピストは藤田先生との約束を思い出して気を取り直した。
藤田先生はその地域の養護教論の中心人物で、ハキハキした物言いが実に気持ち良く、一方で周囲の思いやりと気づかいの生き届いた、まさにセラピストの大好きなタイプの教育者である。
彼女の依頼を断るわけにはいかない。
数日前、藤田先生は電話の向こうで困り果てていたのにちがいないのだ。