
藤井英敏
マネー誌でもおなじみ藤井英敏さんの相場見通しは必見!株式市場の旬な情報をお見逃し無く!投資情報:カブ知恵
09月12日 15時40分
来週の相場見通し/外部環境が劇的に悪化しない限り、堅調相場継続
来週の日経平均は外部環境が劇的に悪化しない限り、堅調に推移する見通し。波乱要因は地政学リスクの高まりだ。まず、ウクライナに関しては、北大西洋条約機構(NATO)の軍当局者は11日「ロシア軍がウクライナ東部に依然約1000人存在している」と指摘しているという。一方、中東情勢に関しては、オバマ米大統領は10日、シリア領で展開する過激派「イスラム国」への空爆拡大を表明した。ウクライナ及び中東問題で、一段と国際情勢、とりわけ、米露間の緊張が高まるようだと、世界の金融市場で「リスク・オフ」の動きが強まる公算が大きい。しかし、そうならない限り、足元のドル高・円安は続き、日本株も強い動きを維持する見通しだ。
テクニカル的には、日経平均は25日移動平均ベースのボリンジャーバンドの+1σ(12日現在15748.18円)と+2σ(同15964.72円)との間でのバンドウォークがメインシナリオだ。+1σを割り込むようだと、25日移動平均線(同15534.53円)付近までのスピード調整は想定しておきたい。来週の一応の想定レンジは15600円~16100円程度。
需給面では、日本株の上値を抑えているのは、高水準の個人からの売りだ。9月第1週(1~5日)の投資部門別株式売買動向では、個人投資家は4週続けて売り越した。売越額は1755億円と前週の133億円から大きく増えた。4週間では6151億円の強烈な売り越しだ。一方、買い手は、年金基金の売買動向を映す信託銀行と外国人。9月第1週は信託は6週連続の買い越し、外国人は2週ぶりに買い越した。買越額は2097億円で、7月第1週以来2カ月ぶりの大きさだった。
ところで、11日、テレビ東京のワールドビジネスサテライトに生番組に出演した黒田日銀総裁は円安・ドル高の水準について「日本経済にマイナスになるということはない」とし、金融政策について「追加的な措置に限界があると思わない」との考えを示したという。このような柔軟な日銀の姿勢は、日本経済及び日本株にとってポジティブだ。円安基調の継続に加え、足元で懸念される家計部門の落ち込みと消費税再増税に向けての追加の金融緩和への期待が抱けるからだ。
4月の消費増税後の個人消費の回復は鈍い。西日本を中心に襲った長雨や集中豪雨、土砂崩れという天候・自然災害要因に加え、金融資産を多く持つ高齢者が節約志向を強めており、さらに、実質賃金が増えないことが消費に影を落としているとみられている。実際、4~6月期GDP改定値は実質で前期比1.8%減、年率換算で7.1%減となり、速報値の年率6.8%減から下方修正された。個人消費も5.0%減から5.1%減に引き下げられた。自動車や衣服などが振るわず、落ち込み幅は比較可能な1994年以降で最大だという。
個人消費が回復してこないと、消費税再増税を安倍首相が決断する環境が整わないため、今後、政府による補正予算編成や、日銀による追加の金融緩和への期待が燻ることになる。これが当面の日本株を下支えする見通しだ。
(株式会社カブ知恵 代表取締役 藤井英敏)