
藤井英敏
マネー誌でもおなじみ藤井英敏さんの相場見通しは必見!株式市場の旬な情報をお見逃し無く!投資情報:カブ知恵
11月18日 15時36分
来週の相場見通し/外部環境に大きな変化がない限り、調整相場が継続
来週の日経平均は、外部環境に大きな変化がない限り、調整相場が継続する見通し。日経平均の想定レンジは8000円~8600円程度。3月15日の8227.63円を割り込むと、下値不安が一段と増すことだろう。市場にとって最も重要な外部環境は、当然のことながら、欧州債務問題の動向だ。具体的には、イタリア、スペインなどの国債利回りが明確に低下傾向を示さない限り、世界全体の株式市場の調整と、為替市場での円高は継続する公算だ。
米国では、追加で最低1.2兆ドルの財政赤字削減の超党派協議の決着期限が23日に迫っている。仮に協議会が成案を得られないまま決裂すれば、いわゆるトリガー条項と呼ばれる措置が発動され、国防費などの強制削減につながるという。この事態は国防を重視する共和党にとっても避けたい事態のため、与野党は最終的には歩み寄るとの見方が大勢だ。だが、万が一決裂となれば、米財政赤字の削減について、今後も米国内の合意を得ることが容易でないことが改めて嫌気され、世界の金融市場が動揺する可能性が高い。
ところで、フィッチは16日、ユーロ圏の債務危機がさらに拡大すれば、米国の金融機関にとって「重大なリスク」になる可能性があると警告した。しかし、既に、欧州債務危機の悪影響は世界に広がり始めている。実際、イタリアやスペインなどの短期国債への積極投資を行っていた、米国の金融大手MFグローバル・ホールディングスは10月31日、連邦破産法11条の適用を申請した。また、保有する欧州向け債権の値下がり懸念が強まり、米大手金融機関の株価が急落している。そして、為替市場での円高・ユーロ安の加速が日本の輸出企業の業績の重荷となっている。
一方、欧州債務問題が深刻化するにつれて国や企業の信用力を示す債券格付けの引き下げが加速すると同時に、流通市場でドイツ国債を除く欧州国債が下げ足を速めている。にもかかわらず、欧州中央銀行(ECB)の役割を巡るドイツとフランスの意見対立が再燃。フランスが暗に国債購入の拡大を促しているのに対し、メルケル独首相らは改めて「ECB頼み」を否定する発言をしている。
また、フランス国債の信認低下(格下げ懸念の強まり)がEFSF(欧州金融安定基金)への懸念に拍車をかけている。フランスはドイツと並ぶEFSFの信用力の源だからだ。信用力の低下したEFSFが十分な資金を用意できなければ、いざというときの対応能力に疑問符がつくのは必至だ。
以上のことから、欧州債務問題が落ち着き、南欧諸国の国債利回りが低下すること以外、日本株が反転することはないだろう。なお、米国経済に明るさが出ればという期待はあるが、欧州問題が深刻過ぎて、米国経済に関する多少の明るい材料程度ではその効果は、欧州のネガティブインパクトにかき消される公算が大きい。
(株式会社カブ知恵 代表取締役 藤井英敏)