
藤井英敏
マネー誌でもおなじみ藤井英敏さんの相場見通しは必見!株式市場の旬な情報をお見逃し無く!投資情報:カブ知恵
06月17日 15時34分
来週の相場見通し/外部環境が改善しない限り、調整局面が続く
来週の日経平均は少なくとも外部環境が改善しない限り、調整局面が続く見通し。外部環境が改善しない(一進一退)前提で、来週の日経平均の想定レンジは8900円~9600円程度。事態が大幅に改善せず、一進一退なら、センチメントは悪化を続け、じり安をイメージする。逆に改善するようなら景色が180度変わることはいうまでもない。そのケースでは、まずは9800円レベルを目指すとみる。だが、現時点で入手できる報道の範囲では、外部環境の劇的な改善は期待し難い。なお、市場の最大の関心はギリシャ問題だ。2番目が米国のスタグフレーション懸念だろう。
債務危機に陥っているギリシャは7月に国債の償還を迎えるが、足元で資金繰りが逼迫している。このため、EUとIMFは16日、「当面のデフォルトを回避し、9月までの資金を確保する」と説明し、120億ユーロのつなぎ資金を融資する方針を表明している。これについては、19日のユーロ圏財務相会合で決定する見通しだ。そうはいっても、これは単なる問題の先送りであり、抜本的な解決には程遠い。
ギリシャは新たな財政緊縮策の実行を約束したうえで、IMFとEUから第2次支援策を取り付けなければ今後、国債のデフォルトに陥る瀬戸際にある。しかし、EU内で、民間負担のあり方も含めた第2次支援策は9月まで結論が出ない可能性が高まっている。そんな状況下、ギリシャ国内では、痛みを庶民に押しつける政府は許せないとの国民の不満が爆発し、国内全土で数万人が街頭デモに繰り出すなど、内政が混乱している。
米国のスタグフレーション懸念も、世界の株式市場の重石となる公算が大きい。5月の米消費者物価指数は、季節調整済みで前月比0.2%上昇し、11カ月連続で前月を上回った。プラス幅は4、5月と2カ月続けて下がったが、市場予測の0.1%を超えている。一方、例えば、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数はマイナス7.7と、前月のプラス3.9から大幅に悪化し、2009年7月以来最低となり、市場予想の6.8程度のプラスからも大幅に下振れた。このように、米国経済のスタグフレーション入り懸念も燻り続ける素地は整っている。
確かに、足元の米国経済の回復鈍化は、原油高や東日本大震災によるサプライ・チェーンによる悪影響など、構造要因というより短期的な要因で生じた可能性が高い。しかし、6月末にQE2が終わるというスケジュールもあり、投資家は、これらの事象が市場にどのようなインパクトを与えるのかが、ある程度見極められるまでは、積極的に動き難いという事情もあることも事実だ。
外部環境がこのように不透明な状況下、国内では呆れて笑うしかないほどの政局の混乱が続いている。このため適切な政策が打ち出されることは一切期待できない。ただし、東証一部の全銘柄のPBRがほぼ1倍水準であり、これが下値サポート要因として強く機能する公算が大きい。これが、外部環境が相当悪化しない限り、仮に政治空白が続いても、日経平均の下値余地が限定的とみている主たる理由だ。
(株式会社カブ知恵 代表取締役 藤井英敏)