とれまがファイナンス - 来週の為替見通し/１ドル＝77.80－80.00円のレンジで荒い値動き - カブ知恵速報

今週の円相場は堅調。ギリシャのユーロ離脱懸念がくすぶる中で、スペインの国債利回りが急上昇し同国の財政・金融システムに対する警戒感もたかまりリスク回避の動きが強まった。対ユーロで円買いが加速したことや、商品相場の下落につれて対資源国通貨で円を買い戻す動きが強まるとドルに対しても円買い圧力が増した。

79.00円に観測されていたオプションのバリアに絡んだ円売り・ドル買いが一時上値を抑えたが、米10年債の利回りが過去最低水準まで低下するなど米金利の低下が進み、日米金利差縮小を意識した円買い・ドル売りが強まったため79.00円を突破。節目とされた200日移動平均も上抜けて一時78.21円と２月15日以来の高値まで上げた。

来週、米国では５日に５月ＩＳＭ非製造業景況指数（総合）、６日にＭＢＡ住宅ローン申請指数、１－３月期米非農業部門労働生産性・改定値、７日に新規失業保険申請件数、４月米消費者信用残高、８日に４月米貿易収支、４月米卸売在庫などが発表される。

また、５日にブラード米セントルイス連銀総裁、６日にウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、７日にロックハート米アトランタ連銀総裁、コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁、フィッシャー米ダラス連銀総裁などの講演が予定されている。７日にはバーナンキ米連邦準備理事会（ＦＲＢ）議長が上下両院合同経済委員会で証言を行うほか、ＦＲＢは米地区連銀経済報告（ベージュブック）を公表する。

一方、日本では７日に４月景気動向指数・速報値、８日に１－３月期実質国内総生産（ＧＤＰ）改定値、４月国際収支などが公表される。

来週は指標では日本の４月国際収支や４月米貿易収支の結果が相場に対し影響がありそうだが、スペインの財政・金融システム不安を背景にした投資家のリスク回避の動きに大きな変化はなく、反応は限られるだろう。

最大の注目は６日に予定されている欧州中央銀行（ＥＣＢ）の定例理事会で、政策金利の引き下げや、資金供給オペ（ＬＴＲＯ）の実施発表があるかに集まっている。金融緩和策が発表されれば、欧州の金融システムの緊張がひとまず緩和し、世界の債券市場に一極集中したお金の流れが一服すると見られる。米国債への資金流入がおさまり、米金利の上昇に伴って円売り・ドル買いが出る可能性が高い。仮に追加金融緩和がなければ、円買い圧力はいっそう高まるだろう。世界の株式市場も一段の調整が避けられない。

来週の円相場は１ドル＝77.80－80.00円のレンジで荒い値動きになりそうだ。欧州の財政・金融システム不安が投資家のリスク許容度を低下させている地合いに大きな変化はなく、基本的に円が買われやすい。

この地合いに変化があるとすれば、世界の金融当局の動きがあった場合で、特にＥＣＢの出方には大きな注目が集まっている。ＥＣＢが行動を起こせば足元の円高の反動で円売りが出る可能性がある。

しかし、６月17日にはギリシャの再選挙が控えており、本格的なリスクオンは期待できない。円の下値は限定されそうだ。一方、円高が進んだ場合は政府・日銀の円売り介入が行われると見られる。78.00円からの上昇余地は小さいだろう。

もっとも、まずは今晩の５月米雇用統計の結果を確認したいところである。予想は失業率が8.1％、非農業部門雇用者数変化が前月比15万人増となっており、予想からどの程度ぶれるかが焦点だ。

（グローバルインフォ株式会社）