
藤井英敏
マネー誌でもおなじみ藤井英敏さんの相場見通しは必見!株式市場の旬な情報をお見逃し無く!投資情報:カブ知恵
06月01日 16時26分
来週の相場見通し/欧州発のポジティブ・ニュースが出ない限り、底値模索
来週の日経平均は引き続き調整色の強い展開を予想する。想定レンジは8000円~8700円程度。基本的には、欧州発のポジティブ・ニュースが出ない限り、底値模索・軟調相場が続く見通しだ。
5月31日のNY外国為替市場でユーロは対ドルでは1ユーロ=1.2337ドルと10年7月1日以来1年11カ月ぶりの安値に下落した。ここまでのユーロ安になる過程で、投資家はリスクオフのスタンスを強め、高リスク商品を売り、安全資産への資金シフトを急いでいる。
欧州発のポジティブ・ニュースが出ない限り、ユーロはもちろん、価格変動の激しい株式、商品は売られ、高リスクの南欧の国債や、新興国通貨も売られ続ける。一方、ドイツ、米国、日本の国債は資金の逃げ場となり、通貨ではドル、円が買われ続けることになる。
ところで、ドラギECB総裁は、中央監督制度や預金保険制度、清算ファンドの3つの柱からなる「銀行同盟」は、どの国の銀行であろうとも、ユーロ圏が銀行支援で団結しているとの重要なメッセージを発信することになり、これが財政統合に向けた象徴的な第一歩となると確信していると、伝わっている。
この方向で、EUが一致するようなら、欧州債務問題・スペインの金融システム不安は沈静化する。しかし、EUの盟主のドイツはこれまでのところ、EU・IMFが求める緊縮プログラムに応じない限り、救済基金による銀行救済についても認めない立場を崩していない。このため、ドイツが妥協するという方向にならない限り、欧州債務問題・スペインの金融システム不安は深刻化する可能性が高そう。
また、17日のギリシャの再選挙で緊縮財政反対を掲げる政党が勝利する可能性もあり、同国がユーロを離脱するリスクも高い状態が継続する見通しだ。ただし、最新の世論調査では、緊縮策を支持する旧連立与党の新民主主義党(ND)の支持率が、反緊縮を掲げる急進左派連合(SYRIZA)をリードしているという。
ところで、ラガルドIMF専務理事は5月31日、IMFはスペインから金融支援の要請を受けていないと言明した。しかし、来週以降、危機がさらに深刻化するケースでは、IMFへのスペインの支援要請が突然明るみにでて、IMFが前向きに検討するとの報道が、ポジティブ・ニュースとなり、現在のユーロ安の反転の材料になることは十分ありえる。
同様に、現在はスペインの要請の応じていないECBが債券の買い入れの再開に動くことや、EU首脳が緊急に会合を開催し、スペイン救済を議論することも十分ありえる。さらに、ECBは6日に理事会を開く。現時点では、何らかの対策が講じられる可能性は低いとみられてはいる。しかし、利下げを含む、何らかの金融緩和策が打ち出されるようなら、多少は、市場は好感しよう。しかしながら、そのような好材料が出るためには、金融・債務危機が一段と深刻化する必要があるだろう。
(株式会社カブ知恵 代表取締役 藤井英敏)