11月21日 11時10分
米ビッグスリー(自動車大手3社)が断末魔の悲鳴を上げ続けている。米議会では18、19日の両日に渡る公聴会でビッグスリーの首脳たちは破綻回避のために公的資金の投入を訴えた。3社とも生きるか死ぬかの瀬戸際だけに必死な訴えになったが、ブッシュ政権は相変わらずつれない姿勢を取りつづけている。ブッシュ大統領もポールソン財務長官も、民間企業を特別扱いするわけにいかないと冷たい。
3社は救済申し出の理由として、経営破綻すれば、雇用が喪失され、米国の中核産業である自動車産業が米国から消えてしまうことなどを上げている。それだけ3社が深刻な状況に陥っていることになるが、では3社の申請理由は正しいのかとなると大いに疑問がある。
ビッグスリーが経営危機に陥ったのは、もちろんサブプライムローン問題の拡大による販売不振がある。しかしその前に原油価格の上昇によりビッグスリーが得意とする大型車の販売が落ちたこと、日本メーカーがいち早くエコカーの開発販売を断行したのに対し、それを怠ったことなどがあげられる。要するに時代の変化を読み誤るというより、変化への対応をしなかったことにある。国内市場が大きいため、海外への輸出にも消極的だったことも忘れてはなるまい。
これらはある程度やむを得なかった点があるのも確かだ。米国自動車メーカーは昔から大型車が標準サイズであり、小型車は子供のおもちゃ扱いだったからだ。そのため消費者が燃費を問題視しはじめ、小型車やエコカーに関心を移してもそれらを製造する意欲もなければ製造システムもないというのが実際だった。
そんな経営が行き詰まったことになるが政府が見放した場合、ビッグスリーが恐れるようなことになるのか。それはないだろう。というのは、日産の例を見れば明らかだ。日産は経営破綻し、ルノーに買収された。破綻直後は雇用に多少の影響はあったものの、日本から自動車産業が消えただろうか。それに日産は実際にはルノーの傘下にあるのだが、それを意識させられることは少ない。日産は昔のままの日産ではないものの、日本人の意識の中では日本メーカーというイメージが保たれている。
マツダにしても同様だ。フォードの傘下にあるものの、これまた日本メーカーの一つというイメージは保たれ、フォード車に対するような拒絶感はない。このような日本メーカーの経営破綻と米国やフランスメーカーによる買収の歴史を振り返ると、ビッグスリーの中の1社、もしくは最悪3社が経営破綻したとしても、米国から自動車産業が消えることはないし、雇用も失われない。
ブッシュ政権もこれらを念頭に置いて公的資金の投入を渋っていると見てよいが、完全に見捨てる決断を下すには時間が足りない。それにオバマ次期大統領はビッグスリーの救済を公約している。民主党もそれに賛成であることなどを考え合わせると、まずは金融安定化法で用意した7000億ドルの公的資金枠の中から200億ドル~250 億ドルの融資を実施する可能性が高い。
そうであるなら早く実施してくれなくてはビッグスリー株が下げ止まらない。何しろゼネラル・モーターズ(GM)株は一時、2.52ドルまで下るありさま、66年ぶり安値となったほどだ。これでは米国株式市場全体も下げ止まらず、東京市場もその影響をストレートに受けてしまう。(執筆者:北浜流一郎 株式アドバイザー)
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